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学ぶ意欲の心理学 [読書]

一言でいえばモチベーションをどう高めどう維持するのかについての本ではあるが、その方法が基礎研究の説明と、話題の研究者との対談を中心とした本であった。
一つの事柄を研究によって証明することができるが、果たしてそれが本当にその要因によっておこるのか…。これは特に心理学という世界ではかなり怪しいことがわかる。いや、心理学はまだ学問として研究されるが、教育の領域である教育心理学となると、そもそも良いこと、目指されることというものがあって、それに向かって研究がなされる。その目指されるものがなぜ良いのかということや、一つや二つの要因によって効果があったのかということは計り知れない。それでも基礎心理学としては学校教育に大きく貢献しているのが教育心理学なのだという。
一つのものを多方面から見る人がいて、学術的に論ずるというよりも、実践として家庭や学校に受け入れられやすいように論じられることで一般化されるが、実際にはその効果は未知なのである。
学校での教師-生徒間の関係、クラス(仲間)-生徒の関係、そういった測りやすいミクロの部分での研究は行えるが、その背景にある社会情勢や家庭環境までひっくるめたときに、個々の生徒の学ぶ意欲への要因は限定できないのが問題だ。貧困を理由にして学ばない子もいる、貧困を乗り越えようと学ぶ子もいる・・その根底にはどんな違いがあるのか、教育はどう貢献できるのか・・・・。
そういうところは永遠の謎のままなのかもしれない。
読んでいて、うんうんと納得しながら読み進めてきたが、2001年発刊の本であった。社会が変わり状況が変わり…今でも「うんうん」と読めるということは、結局は基礎心理学なのかなぁと思った次第だ。






学ぶ意欲の心理学 (PHP新書)

学ぶ意欲の心理学 (PHP新書)

  • 作者: 市川 伸一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/09/14
  • メディア: 新書



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