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聖なる怪物たち [読書]

二冊続けて医者を主人公とした話しだ。前回の本を紹介してくれた人が貸してくれた。医療系の話が好きなんだろう。

今回は医療ミス?を犯した医者とその周りで多くの人たちの思惑が重なりあって一つの事件をつくりあげる。
子どもは誰の子で、母はなぜ死んだのか...一人一人の登場人物か、それぞれの思いを持ち、嘘を重ねる。重なった嘘は大きな事実と絡み合って、正義や倫理を越えていく。
誰もが自分の中にあるものと向かい合い、誰もが自分自身を欺きながらこの先にもストーリーは続いていくのかもしれない。
「なぜ、あの時に...」という思いは誰しもが持つものである。そして、その思いはその先の人生で何度も思い出されては自分を苦しめる。
小説のなかで生まれてきた赤ちゃんは、なにも知らず、しかし、両親に常にそんな思いを抱かせながら育っていくのであろう。
嘘から生まれた生と死によって、この物語は最後までハラハラとさせてくれた。医師の倫理や人の道徳を嘲笑うような小説だった。
さて、最後に、もう一人の看護師は、「なぜ、あの時に...」にどう向きあっといるかを想像してしまった。

読みながら、自分も医者になったならと、妄想するだけはタダである。





聖なる怪物たち (幻冬舎文庫)

聖なる怪物たち (幻冬舎文庫)

  • 作者: 河原 れん
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/12/27
  • メディア: 文庫



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雲の階段 [読書]

友人にオススメの小説を紹介してもらった。
それが雲の階段である。
東京の離島で医療事務で働く青年が、医師不足の島で医院長に医師としての技術を教わりながら、高校しか出ていないながらも医療行為を行う。だが、島の医師不足は深刻で技術をもつ青年は次第に医師として扱われるようになる。
そこで出会った女性と恋をし、その父親の大病院に医師として働きながら、偽医者であることがいつバレてしまうのか、その危機と医者としての信念や、お金持ちと貧しきものの医療差別について考え、結果的にはそれが原因で出会った昔の仲間からも揺すられるようになり、自分の首を絞める。

さて、上下巻に別れた長編小説で、いつ偽医者とバレてどんな扱いを受けるかをドキドキしながら読み進めたが、いっこうにバレることもなくページ数は減り、最後は...。なんとも許せないきれいな終わり方だったと僕は思う。

この小説について僕は紹介してくれた方になんと報告しようか。
ストーリーはとても面白くドキドキする。主人公の気持ちもよくわかり、なんだか自分も今の仕事が偽物として携わってるような感覚をおぼえた。
決断できない主人公は、その時々に流されて行き着くところまで来てしまった。僕自身も似たところがある。その時々に言い訳を言いながら流される傾向がある。自分に似た主人公にイライラし、共感し、羨ましく思ったり、いろいろな自分に出会いながら読み進めることができた。
そんな最後がさっぱりしすぎて残念な思いが残る小説でもあった。

読んでいてなんとなく口調を真似てる自分が可笑しかった。










新装版 雲の階段(上) (講談社文庫)

新装版 雲の階段(上) (講談社文庫)

  • 作者: 渡辺 淳一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: 文庫



新装版 雲の階段(下) (講談社文庫)

新装版 雲の階段(下) (講談社文庫)

  • 作者: 渡辺 淳一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: 文庫



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