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絶唱 [読書]

小説とは読みだせば、時間を忘れて読んでしまうもの。
そういう感覚がとてもいい。さて、今回は湊かなえの小説である。
1人の登場人物によって4つの物語が一つの物語に繋がる。
短編であり、長編である。このドキドキ感がとても好きだ。
今回は阪神大震災とトンガの二つのキーワードで繰り広げられていく物語。
著者自身がトンガで海外青年協力隊に参加した家庭科教師であることから、フィクションなのかノンフィクションなのかと考える。きっとノンフィクションをフィクションにして伝えたかった思いがあるのだろう。
読者の勝手な想像として、誰しも心の中にそのままでは伝えられないけれど、他の表現で伝えたい話したい(離したい)思いがあると思う。そういう思いが登場人物に載せられて物語として伝えられるんじゃないだろうか。
災害は突然やってくる。そして、望まずとも多くの物語を残す。阪神大震災の朝、テレビで見た光景を思い出す。その日にしていたことが記憶に浮かぶ。これも境界線の外にいたから、語ることができることなんだろう。
あぁ、湊かなえはやっぱり物語を作るのがうまいなぁと改めて思うし、読み終わった後の言い表せない感覚がとても心地よい。言い表せないから、紹介するときには「読んでみて」としか言えない。
あまり解説に期待しない僕だけど、今回の小説は解説を読んで答えを知りたいと思える物語でした。





絶唱 (新潮文庫)

絶唱 (新潮文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: 文庫



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蝿の王 [読書]

先日読んだ、教育哲学に少し話題を提供していた小説である。ちょっと興味があったので借りてみたが、これがとても読みづらく頭にストーリーが入ってこない。
翻訳された本だからかなぁ。それでもなんとか最後まで読みきったが...ここに書くほどのことはない。
子ども達がある環境に置かれたとき、狂暴な組織集団に変わっていくのだが...。
とりあえず読んだぞってだけの記録でした。





蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)

  • 作者: ウィリアム・ゴールディング
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1975/03/30
  • メディア: 文庫



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教育哲学 [読書]

教育関連の本を読んでみると、では、教育は何のために行われるのかと考えるようになる。
そんなわけで教育哲学と名のつく本を手に取ってみた。
著者の宇佐美は痛快に教育哲学研究者の批判をする。
研究とは自分の新しい発見や自分の考えを示すものであり、どこどこの国の誰々さんが語った、書いた本の紹介をすることではないとのことである。
教育哲学の本を手に取った理由はまさに、その過去の偉人がどう考えたかを知りたかったのもある。ただ、それは教育思想であり教育思想史が正解だそうだ。
では、教育哲学は何か。そのことについて他者の意見や論文を批判しながら、また自分の書いた論文と比較しながら話は進んでいく。この過程こそが哲学なのだと。教育思想は、踊っても、歌っても、読経しても、どんな表現方法でも発表はできる。実践が伴い、その人の人柄にまで触れられる。教育哲学は、そういった思想の概念を分析し、作り直し、透明にする学問だそうだ。
他者の教育関係書籍を読み、自分はどんな価値観を持って教育を実践できるのかを、自分の教育観を批判し疑問をもって、自分の新しい概念を発見していく過程が教育哲学なのだ。
実践をしている人の中にこそこういう〈疑い〉や〈批判〉がある。実践していない人の絵空事では、哲学には至らない。日々行われている教育活動を、その人が語る、書くのは教育思想である。

書いている自分自身も混乱してくるが、とても意味深い問いを与えられたように思う。
日々の実践に哲学の一面を持ちながら、実践者として教育思想を作っていくことに価値がありそうだ。





教育哲学

教育哲学

  • 作者: 宇佐美 寛
  • 出版社/メーカー: 東信堂
  • 発売日: 2011/09
  • メディア: 単行本



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長谷川博之の「学級通信」365日全記録 [読書]

学校の先生をしている知り合いのお母さんに紹介していただいた。
紹介していただいたからには読まねばならぬ。最初は図書館で借りようと思ったが、せっかく紹介していただいたタイミングに読もうと、購入した。
結構、お高い本だった。しかも、上下巻。

最初は、何年分のをまとめたんだろうと思った。ところが1年間の学級通信をただそのまま本にしたものだった。こりゃえらいものを買ってしまった。そして、字が細かい。笑
一日1枚で最大でも365枚である。学校に通うのは200日ほどだから最大でも200号だと思ったが、どうもそれにしちゃあ本が厚い。一日に何枚もの通信が出ている。それも、自信たっぷりな言葉の数々を書きこんでいる。
生徒たちとの日記のやり取りが1年にわたって続けられている。
下巻を読んでいるときに、ふと「アルジャーノンに花束を」の小説を思い出した。子どもたちの文章が成長していく。
長谷川先生はたった一年間だけ、しかも、2年生という一番多感な時期を受け持った。集団とは呼べない学級はちょっとつついただけで崩壊するような烏合の衆。構成している生徒も、疑心暗鬼な日々を送っていたに違いない。そんな不安定な子どもたちにこそ、長谷川先生の自信たっぷりな言葉の数々が指針となった。地図となった。下巻を何ページか残したところでそう感じた。
こういうの読んだら、先生やりたくなりますよね。
小説よりも当然リアル。しかし、行間にページとページの間に苦しい苦しい実践があってこの2冊があると思うと、とてつもない可能性と重さを感じた。
人は変わるんですね。大人の実践が大切なんですね。子どもたちは大人たちの影響を受けてそこにいる鏡なんですね。

さて、これを読んだ僕はどうするんだろう。









生徒の心をわしづかみ! 長谷川博之の学級通信365日全記録 下巻

生徒の心をわしづかみ! 長谷川博之の学級通信365日全記録 下巻

  • 作者: 長谷川 博之
  • 出版社/メーカー: 学芸みらい社
  • 発売日: 2019/08/21
  • メディア: 単行本



生徒の心をわしづかみ! 長谷川博之の学級通信365日全記録 上巻

生徒の心をわしづかみ! 長谷川博之の学級通信365日全記録 上巻

  • 作者: 長谷川 博之
  • 出版社/メーカー: 学芸みらい社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 単行本



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きみの町で [読書]

一人で飲みに行こうと思ったときに、楽天ブックから届いた封筒を開けて手に取った。
これなら読めちゃいそうだ。
それくらい薄い本だった。
僕の好きな?好みの?似た?重松作品である。短編集は飲みながら読むにはなかなか難しかった。つい、隣で話をしているひとに意識がいって内容がが頭に入らない。
そんな短編が繋がるときが来る。
これは哲学にくっついた小説なんだ。そう思ったら違う見え方がしてきた。短編がくっついてちゃんと一冊の文庫を構成している。
災害がもたらす切ない別れを表現し、自由と不自由を考えて...。

お迎えが来たから帰る。
現実へ...





きみの町で (新潮文庫)

きみの町で (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: 文庫



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きよしこ [読書]

本を紹介してほしいと言われた。
そんな時に、紹介するならこの本だと思っていた本がある。
「きよしこ」だ。重松清が、吃音のある少年の母から励ましの手紙を書いてほしいと頼まれて、手紙ではなく小説を書いた。
僕は吃音ではない。でも、小学校のころから自分の中に、恥ずかしいと思うところがあった。
そんな僕が大人になって、「きよしこ」と出会った。その時の何とも言えない思い。自分の欠点を抱えて成長していく少年の気持ちにとても励まされた…ような気がする。
なぜ、気がするなのか…それは具体的な内容はあまり覚えていない。そんな時にこのブログに頼ればよいと思っていた、ところがブログに記録もない。
記憶をたどるよりも、もう一度読むことにした。

きっと前とは僕の置かれている状況や心境が違うのだろう。
思っていたほど、励まされるような小説ではなかった。
でも、そうだよな、そうだよなって相槌を打ちながら読んでいる僕がいる。
吃音の少年は、自分の思いを伝える言葉を発することで恥ずかしい思いをするのを避けて生きてきた。そんな少年が、心の中ではすらすらとしゃべれる。こうやって重松清は生まれたんだな。
転校を繰り返しながら、たくさんの仲間に会うが、一つ一つのエピソードは自分の中で覚えておかないと、ずーっと一緒に過ごした仲間はいない。恥ずかしくて、どもる言葉から逃げてきた少年が、父親の言葉で自分の思いを伝える。それを応援する彼女の存在と別れ。あぁなんと切ない。

二度目に読んで、やっぱりこの本を紹介しようと思った。
人はそれぞれ自分の何かに劣等感を持ち、それを乗り越えようとしながらもだえ苦しんで成長する。そして、できなかったことを別の形で表現できた時に、それがちょっとだけどうでもよくなるんだと思う。つらいけど、苦しいけど、全部ひっくるめてバランスなんだよなぁ。






きよしこ (新潮文庫)

きよしこ (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/06/26
  • メディア: 文庫



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自信をもてないあなたへ [読書]

人生いろいろです。いろいろなことがある時、いつも自分と向き合い自分のせいにします。
でも、それは自分のせいなのでしょうか?
過去は変えられないと言います。でも、過去は変えれれるが、未来は変えられないとも言います。
過去をどう捉えるかで、その意味は変わります。
最初に読んだときは、数日で読み切れてしまうくらいに文字を追いかけていました。
頭に残らない、ただ読んで本棚に移されるという流れです。
でも、ある人にその本を章ごとにレポートにして紹介してほしいと言われて、この本との向き合い方が変わりました。人に紹介しようと思うだけで、読む深さが変わります。

この本に書かれている通りに実践すれば年単位の時間が必要になります。
それくらい一度染みついた自分への評価を変えることは難しいです。それでも、できるところから少しずつ実践してみると、ヒントがたくさんあります。生きやすくなるヒントです。
そういうものを学べる本でした。
他にも、認知行動療法の本はあると思います。それとの違いは、いろいろな人の実践例があるので、イメージがしやすいのです。自分のこととなると見えない部分が他人の経験からだと見えるということがあります。人を見ているようで鏡を見ているのです。

本は一つの道具です。その道具を使うのは自分です。結局、自分次第なんですね。





自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法

自信をもてないあなたへ―自分でできる認知行動療法

  • 作者: メラニー フェネル
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2004/06/26
  • メディア: 単行本



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教育の力 [読書]

アドラーの本を読んで、教育の大切さを感じた。
原因ではなく、過去ではなく、これからの教育の大切さを。
さて、では、教育とはなんなんだろう?何のために、何を求めて教育はされるのだろう?
それを考えずに、教育方法という手段の良し悪しは語れず。

そんなわけで、「教育とは」を求めて、本を探すと図書館で出会ったのは苫野一徳の「教育の力」であった。さて、一冊の本を読んで、それに信奉するように、答えを求めてはいけないと思う。
しかし、私は本を読みながら、本を信頼する傾向にある。批判的な読み方が苦手なのだ。すんなり受け入れながら読み進める。
今回の内容は最後まで、公教育は個人が〈自由〉を獲得するために、他者との〈自由の相互承認〉をするための、〈公共の福祉〉としての平等性こそが、教育の目的であることを土台として、学力を「学び続ける力」と位置づけ、教育方法として「個別性・協同性・プロジェクト型」を基本とした考えが展開されている。しかし、常に二項対立には陥らないように書かれていることが、今の教育問題への提言でもある。最終的にはどちらかを選ぶ必要がありながら、どちらが正しいということはない。どちらがその状況にあっているかを常に考えることで、方法も手段も変化しても構わない。ただ、その時に方法論を支える原理をちゃんと知っておく、考えておくことが必要となることが大切だということだ。
最終的には第一案でも、第二案でもない、ベストな第三案を作ればいいというが…。教科書として読むにはとてもすんなりと入ってくる内容も、今おかれている社会の中で現状と絡ませて考えた時には、そんなに簡単な問題ではない。

とても読みやすく、道に迷った時に、一つの地図として読むには良い本だと感じた。





教育の力 (講談社現代新書)

教育の力 (講談社現代新書)

  • 作者: 苫野 一徳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/03/19
  • メディア: 新書



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