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教育とは - イギリスの学校からまなぶ [読書]

イギリスの教育では生徒指導と言う言葉の代わりに羊飼いが羊を導くという意味のパストラルケアという方法で行われるらしい…。
そんなことを調べながら、そもそもイギリスの教育とは?と考えて、図書館に向かう。
イギリスの教育と日本の教育を比較しながら、著者と著者の息子の経験から書かれた本書はイギリスの教育の複雑さや、日本の教育との様々な違いを浮き彫りにしてくれる。特に「クリティカルシンキング」について行われる授業の説明はとても分かりやすい。ヨーロッパではクリティカルシンキングと言う科目があるといわれても、批判的思考と訳してみれば、何のことだかわからない。具体的な授業内容を読むと、そうか物事を論理的に考えて伝えるとはそういうことかとわかる。また、教育に関するそれぞれの国の背景や問題点も違うことから、同様な方法をとることが難しいこともよくわかる。そう考えていくと日本に居て多くの国の教育について知ることは、日本の教育の形を知るうえでとても有益であると感じた。また、本書はとても読みやすい。難しい教育用語は出てこないし、回りくどい説明もない。すらすらと読み進めることができる。
 それにしても日本の教育はなぜこんなに教科と言う枠組みが強いのだろうか。総合的な学習と言ってみても、教科指導のおまけのように扱われてしまう。そして、1から10まで知っていることを求め、知っているかどうかが知育として扱われる。本書が書かれたのは2005年なので状況は変わってきていると言いたいところであるが、大学入試制度改革の延期などを考えると、たいして何も変わっていない。義務教育段階での取り組みは新しいものが見られるようになっても、大学入試が変わらなければ高校での学びも変わらない。
現在、マイナスの影響しか与えていないと考えるコロナを乗り越えた先に、そんな時期だから行われた教育が、それまでの教育に変化をもたらせたといわれるくらいの、取り組みに期待したいと改めて思う。


教育とは―イギリスの学校からまなぶ    NTT出版ライブラリーレゾナント014

教育とは―イギリスの学校からまなぶ NTT出版ライブラリーレゾナント014

  • 作者: 小林 章夫
  • 出版社/メーカー: NTT出版
  • 発売日: 2005/08/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)






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