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ブロードキャスト [小説]

久しぶりに自分で購入した小説。最近は図書館で借りることの方が多い。
湊かなえの小説を読むときは、今回はどんな展開でハラハラさせられるのだろうかと思いながらページをめくるのが楽しみである。
で、「放送部」の話(笑)。なんともモヤモヤする青春ドラマだ。
陸上をやるために有名校に進学したが合格発表の帰りに事故にあい、陸上を断念した少年が、放送部と出会うが、まさに「放送部か」というスタートからである。
陸上の駅伝と、放送部と、その活動に共通するものはある。怪我が治った時に、どんな選択をするのかを考えながら、読み進めることができた。
湊かなえらしさは、物語の構成にある。最後にそのシーンが来るのねという、そんな展開にドラマが一つにまとまる。
(ブックカバーを外して、気づく。最後に書かれていた「ラジオドラマ」は短編だそうだ。でも、文庫本としてとってもよくまとまっている。短編が集まって湊かなえの長編になるというのはやっぱり湊かなえらしいのだ。)
こういう青春も悪くはないのだろうと、運動ばかりしてきた自分の価値観に一石を投じる。
解説を読むと、「うんうん」と思う。そして続編の存在を知って、また楽しみが増えるのだった。





ブロードキャスト【電子特典付き】 (角川文庫)

ブロードキャスト【電子特典付き】 (角川文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/01/22
  • メディア: Kindle版



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52ヘルツのクジラたち [小説]

本屋大賞2021の話題の小説。
52ヘルツのクジラの鳴き声は、海の中では仲間に届かないそうだ。僕には聞こえない声で助けてと叫ぶ声があるのだろうか。僕の声は人にちゃんと届いているのだろうか。
いろいろなつらい過去をもつ人たちが、そんなつらさを声にならない声で共鳴しあう。ああ、こんなに切ないことはあるのだろうか。誰かが受け止めてくれたときはすでに遅かったり、他の誰かを傷つけていたり…。
虐待を受けた二人の物語が重なり合っていくが、その声を聞くことができる力も、同じ境遇からなのか。
読んでいて、自分ならどうするのか、自分なら聞こえるのかと、そして、こんな不幸なことが実際にも起こっているのだろうと思いながら読み進めた。
さすが、本屋大賞に選ばれただけある。





52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち

  • 作者: 町田そのこ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/04/21
  • メディア: Kindle版



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悪魔とプリン嬢 [小説]

パウロ・コエーリョの小説。
日本語に訳すときに表現が難しくなるのか。もともと難しく書いているのか…。なんとも読みづらい小説だった。
金がなければ起こらない問題を、自分のものではない金を自分たちのものにするために、一人の命を差し出すことに葛藤する町。人の欲は自制心を超えるのか。悪魔の囁きか天使の囁きか、普段の生活のなかでも起こりうる葛藤をひとつの物語として表現している。
正しさや正義、それまでの倫理を、脅かし、そして欲に負けない正しさを求める教訓めいたパウロ・コエーリョらしい物語だった。




悪魔とプリン嬢 (角川文庫)

悪魔とプリン嬢 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2014/11/10
  • メディア: Kindle版



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