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ハレルヤ! [小説]

重松清の小説。本文中にもあるけど時代背景のしっかりしたというか、日にちが入った内容。忌野清志郎が亡くなったことをスタートに昔のバンド仲間がバンドを解散してからの、それぞれのこれまでを持ち寄りながら、覗き見しながら、集まっていく物語。途中に重松自身の言葉が登場して時代を語りだすところが重松清らしい。なんとなくイメージできるし、なんとなく全部を物語にしない。それぞれの言葉の多くは語られてはいない言葉だし、その回想の中にこそ重松小説のらしさと、共感できる部分だと思う。まさにレコードのB面にうつるというのが今の自分にぴったりで、登場人物の心のつぶやきが僕の心にも染み込んでくるから不思議だ。
別に僕が昔、音楽をやっていたわけじゃないし、むしろ音楽とは無縁の人生だった。それでも音楽が僕の中では違うものに置き換わり、自分の中の回路を揺さぶってくるから、面白い。重松の作品は丸く収まることを嫌うし、むしろ自分で想像しろよという終わり方が多い。だから、読んで本を閉じてから、いや、もう残り数ページのあたりから、いろいろな回想が始まってしまう。
僕も明日どうなるかわからない。まぁ、小説みたいにはいかないがそれでも自分の物語を生きる。そんなことを考えることが、くすぐったくも感じるのが、読書後のひとときだった。





ハレルヤ! (新潮文庫)

ハレルヤ! (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/06/24
  • メディア: 文庫



追記

この小説を読んだすぐ後に、アマゾンプライムでなんとなく「殿、利息でござる」を見ていた。
すると、その最後に「上を向いて歩こう」RCセクションが流れてきたのだ。人生にはこういう偶然があるんだなぁと感慨深い。普段なら何気なく素通りする中に、ふと気づくと意外な偶然がある。そんなことに気づかせてもらえたことがなんとなくうれしかった。

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