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サヨナライツカ [小説]

恋愛小説…なんだろうなぁ。
燃え上がる恋は結婚を決めた男性の前に現れる。好青年と呼ばれた彼は、その呼び名の意味が変わっていく。結婚直前まで燃え上がる恋と堅実な人生を天秤にかける。
あぁ、物語だなぁと思うのは、そこはどうなったのか?と思うところは全部飛んで次のシーンに移ってしまうところだ。これはズルい。そこをもっと描写してよ。もっと教えてよってしっかりと物語の中に吸い込まれている。
そして、25年の歳月は1ページにもならずに、飛んでゆく。そこからの展開は早いのた。4ヶ月をあんなにじっくり書いたのに…。そんな、憎らしいところがたくさんあるの。この好青年は結局、悩んだが堅実に生きたし、恋は失ったかもしれないが、生活は失わなかった。
さて、それは幸せか。一緒にいないからこそ続いた恋7日もしれない。兎に角、ズルい好青年はいつまでも変わらない。
愛したことと愛されたこと…どちらを思って私はしぬのだろうか…。まだまだ、わからないことだらけの人生だなぁと、つい物事から飛び出して自分を重ねてしまった。
こんな恋…してみたかった?いや、僕にとっては…。
サヨナライツカ…読み終えて、手を置いて、しばらく浸れる物語だった。





サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 辻 仁成
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/07/05
  • メディア: 文庫



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A2Z [小説]

アルファベットA〜Zまでで26文字…この26文字を使えば気持ちを伝えることができる言語。
そんなA〜Zを頭文字にした単語が物語を構成している。内容は恋愛、それも夫婦がそれぞれ恋しながら夫婦であり続ける物語。この気持ちわかるなぁなんて言ったら今の御時世では爪弾きにあうのだろか?恋に理由はなく、帰るとこがあるがゆえに始まる恋や続く恋はその状況が変われば終わっていくのかもしれない…。
さて、読後の感想は物語は短編が繰り返されるように短い物語が積み重なるのでとても読みやすい。そういう意味ではA〜Zの26文字は良かったと思うが…選ばれる単語やここにその単語はいるのかな?という疑問が残る。
物語そのもので充分楽しめるのに…僕にとっては蛇足な感じもするが、それがあるからこの物語なのかもしれない。





A2Z (講談社文庫)

A2Z (講談社文庫)

  • 作者: 山田詠美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/11/14
  • メディア: Kindle版



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北風 [小説]

これは小説…物語なんだよなぁ?早稲田大学ラグビー蹴球部を題材にした物語。大会で優勝するとか、感動的なエピソードとかが語られるわけでもなく、一人のラガーマン、高校時代に花園に行けず一浪して入った早稲田はラグビーをやるためではない。しかし、一度ラグビーの魅力に取り憑かれたものは、そこへ戻っていく。高校時代に精一杯やったラグビーがいかに甘かったかを思い知る、そして苦しみの中で考えて考えながらもただただ自分をいじめる。一人ひとりが同じように追い込みながら一つのチームになっていく…それを三本目や四本目の一年生はその中で見ている。それだけの物語なのになぜか早稲田ラグビーに憧れを持ちながら読んでしまう。そんなけやっても勝てないが最後に開放されていく…。あぁ、限りあるからやれる…そんなことを感じさせる。
解説の清宮克幸が語るところもやはりこれが早稲田だと物語なの?と思わせる。あぁ、ただの日常は異常な日常であり、それでいてそんな時間を過ごす彼らが羨ましい。
あぁ、ここで終わりから、報われない…と思いながら選手は違うだろうなぁと、妙に納得しながら本を閉じた。





北風 小説 早稲田大学ラグビー部 (集英社文庫)

北風 小説 早稲田大学ラグビー部 (集英社文庫)

  • 作者: 藤島 大
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/09/20
  • メディア: 文庫



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四畳半タイムマシンブルース [小説]

題名にタイムマシンと出てくるのだから、そりゃ物語にもタイムマシンが登場する。それなのに、読んでいてタイムマシンが出てくるまでは、そう思っていなかった…。何とも集中力のない読書である。ファンタジーは…ちょっとと思いながらも楽しんで読んでしまう。未来も過去も決まっていてタイムマシンに乗って何をしたところでそれも全て決まっているから何も変わらない。それは一冊の本のように全て書かれている。しかし、読み手は前からしか読まないから、過去と未来が生まれるという。これも一つ面白い考えだと思う。さて、エアコンのリモコンはなぜ壊れたのか…そしてその下宿に伝わる伝説は…くだらない題材を書いた最寄語りだが…タイムマシンに乗ってときを入れ替えていくと面白い物語に変わる。
寝る前のひとときを楽しい時間に変えてくれた物語であった。





四畳半タイムマシンブルース (角川書店単行本)

四畳半タイムマシンブルース (角川書店単行本)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/07/29
  • メディア: Kindle版



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龍神の雨 [小説]

最初は、なんだか同じような兄弟と場面がコロコロと変わって登場人物も似たような感じなので頭の中で???となっていたけれど、その二つの兄弟が出会い、そして一つの物語として重なっていく。
どちらも本当の親ではない親子関係に問題を抱えて。真実と勘違い、思いと思い違いが重なり合って、ストーリは進んでいく。そして、表と裏の顔を持つ登場人物が、物語をぐっと面白くする。ゾクゾクしながらページをめくるこの感じがとてもよかった。でも、なんともやりきれない物語の終わりは、そこまでしなくてもいいのにと思ってしまい、しばらく後をひく。ちょっと気持ち悪い性も絡みながら、進められていく物語にどっぷりとハマりました。
真実は如何に!!という場面がたくさんあり、人により同じことを違う捉え方をし、心の深いところで絡み合う人間描写に力強さを感じることができた。
あぁ、小説は面白い。小説だからそう言える内容だった。





龍神の雨(新潮文庫)

龍神の雨(新潮文庫)

  • 作者: 道尾秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/02/01
  • メディア: Kindle版



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煌夜祭 [小説]

またまたファンタジー
それも割と暗い感じの小説だった。
語り部が物語を冬至の日に朝まで話す。魔物がでるその日に、魔物が物語に熱中するがゆえに、人が食われずに済むからだ。短編集のように書かれた語り部が話す物語は、最後に絡み合って一つになっていく。
読んでいて、自分自身がこの横文字の名前が頭に入らず誰がどの人で、どうなったのか…流し読みしてきたばかりにうっすらと繋がるもののという状態で不完全燃焼であることは否めない。こういう物語は映像も交えて、見た方が記憶に残るのかもしれない。結局、ファンタジーにどっぷりとつかれない自分がいるのだ。なんとなく自分と重ねながら本を読むのが好きな僕にとっては、ファンタジーは現実とかけ離れすぎているのかなぁと思った。読みたい本がたくさん机に並んでるプレッシャーも少なからずあり、不完全燃焼ではありながら次の本を手に取る。
こういう小説は、もっと若い時に読んでおくべきだったと…今更ながらに。





煌夜祭 (中公文庫)

煌夜祭 (中公文庫)

  • 作者: 多崎礼
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: Kindle版



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はてしない物語 [小説]

知り合いに紹介された小説。ファンタジーはあんまり読まないけれど…。
紹介されたので読んでみることにした。これが上下巻に分かれた超大作でした。
私が読んだのは文庫本だったけれど、結構古い物語で訳者あとがきを読んでみると、最初に出版された本は物語にでてくる本と同じような装丁で作られていたという。とてもこだわりのある本だったようだ。
内容は、少年が読んでいる本の中に吸い込まれていくと言っても、物語の中に登場するという意味ではあるが。私ははてしない物語という本を読んでいる。そして、主人公であるバスチアンは、はてしない物語という物語のなかで、はてしない物語を読んでいる。そしてその本に吸い込まれていき、物語を作り出していく。原書は2色刷りで読んでるところと物語は別の色であったようだが、文庫本ではわかるように書き方を変えていた。どうしても翻訳本は登場人物の名前がややこしい。覚えられない。それでも、物語の中で物語を作る立場になったときそのままそこで自分の思うままの世界を作って現実の世界を忘れてしまえばファンタジーの中で夢が語れなくなる。やはり現実の世界の中でいろいろなことがあるから、夢をみて、ファンタジーの中だけでは生きていけないし、現実がの中にファンタジーを重ねるから現実の世界でまた新しい挑戦ができる。ファンタジーを読みながら、それをどう理解していくかは読者次第なんだとおもう。
そういうことをいろいろ考えながら読むことができる本だった。
たまにはファンタジーもいいもんだなぁと思った。こういう本に子どもの頃に出会ったなら…そうおもったので子どもに読み聞かせてやろうかと思ったが…長すぎて断念(笑)








はてしない物語 上 (岩波少年文庫 501)

はてしない物語 上 (岩波少年文庫 501)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06/16
  • メディア: 単行本



はてしない物語 下 (岩波少年文庫 502)

はてしない物語 下 (岩波少年文庫 502)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06/16
  • メディア: 単行本



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片眼の猿 [小説]

道尾秀介のミステリー、ストーリーは読みやすくわかりやすいが…課題となる事件よりもその前後の中に面白みというか人間模様というか、本当の物語があるような小説だった。言葉足らずの説明で、ちょっとした引っ掛かりがある説明にことごとく騙されて最後に種明かしがやってくる。これはカラスの親指やカエルの小指につながる道尾秀介らしさなのかもしれない。目に見えるものではないものを信じると言えばいいのだろうが、種明かしされた探偵事務所に果たしてどんな依頼人が来るのだろうかとも考えてしまう。
読み終えて、探偵としての物語はあっさりさっぱりだったなぁと振り返る。
こうやって書いておきながら、いろんな角度から楽しめる小説だった。ドロドロはなく、勘違いばかりの物語。
片眼の猿の説明はなんとも切ないものでした。


片眼の猿―One-eyed monkeys―

片眼の猿―One-eyed monkeys―

  • 作者: 道尾秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: Kindle版






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リボルバー [小説]

原田マハの素敵な小説。
ゴッホが自殺を図ったリボルバーかもしれないリボルバーがオークションに出品された。
そんな事実のかけらから、その先にこれだけの物語を見つけるとすればさすがである。
ゴッホにもゴーギャンにも詳しくもなければ知識もない僕が読み進めながら途中うとうとしてしまうこともありはしたものの、やっぱり最後まで読み切って、こんなにうまく史実からはみ出した物語を書けることがうらやましくて仕方ない。
凡人にとって何気ない日常のひとかけらは、天才には芸術のスタートとなるのだろう。
原田マハが今回はリボルバーを元に物語を書いたように、ゴッホやゴーギャンは風景や向日葵、人や教会を見て、それをアートに変えたんだろうと思うと、これまでは何の興味もなかった絵が少しは理解できるかもと勝手に思い込んでいる自分がいる。きっと僕が見たところでその絵のすごさはわからないのだが、この小説の面白さはしっかりと伝わった。
歴史を想像するというのは、こうやって物語にした時に、新しい歴史を創造したことになるんだろうと思う。実際にオークションで落札されたリボルバーはもっとすごい真実を知っているのかもしれないと思うと夢が膨らんだ。





リボルバー (幻冬舎単行本)

リボルバー (幻冬舎単行本)

  • 作者: 原田マハ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2021/05/25
  • メディア: Kindle版



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ハレルヤ! [小説]

重松清の小説。本文中にもあるけど時代背景のしっかりしたというか、日にちが入った内容。忌野清志郎が亡くなったことをスタートに昔のバンド仲間がバンドを解散してからの、それぞれのこれまでを持ち寄りながら、覗き見しながら、集まっていく物語。途中に重松自身の言葉が登場して時代を語りだすところが重松清らしい。なんとなくイメージできるし、なんとなく全部を物語にしない。それぞれの言葉の多くは語られてはいない言葉だし、その回想の中にこそ重松小説のらしさと、共感できる部分だと思う。まさにレコードのB面にうつるというのが今の自分にぴったりで、登場人物の心のつぶやきが僕の心にも染み込んでくるから不思議だ。
別に僕が昔、音楽をやっていたわけじゃないし、むしろ音楽とは無縁の人生だった。それでも音楽が僕の中では違うものに置き換わり、自分の中の回路を揺さぶってくるから、面白い。重松の作品は丸く収まることを嫌うし、むしろ自分で想像しろよという終わり方が多い。だから、読んで本を閉じてから、いや、もう残り数ページのあたりから、いろいろな回想が始まってしまう。
僕も明日どうなるかわからない。まぁ、小説みたいにはいかないがそれでも自分の物語を生きる。そんなことを考えることが、くすぐったくも感じるのが、読書後のひとときだった。





ハレルヤ! (新潮文庫)

ハレルヤ! (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/06/24
  • メディア: 文庫



追記

この小説を読んだすぐ後に、アマゾンプライムでなんとなく「殿、利息でござる」を見ていた。
すると、その最後に「上を向いて歩こう」RCセクションが流れてきたのだ。人生にはこういう偶然があるんだなぁと感慨深い。普段なら何気なく素通りする中に、ふと気づくと意外な偶然がある。そんなことに気づかせてもらえたことがなんとなくうれしかった。

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