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ならずもの [読書]

私がインターネットを利用し始めたとき、その検索サイトといえばyahooだった。
確かに、今はキーワード検索が主になっていたが、昔は多くのカテゴリーの中から、自分の興味のあるものを選択していき、ホームページにたどり着くという方法だったなぁと、この本を読みながら思いだした。
このパソコンが世に普及し始めたのは1980年ごろから、そして1995年のWindows95によって爆発的に世に広まった。ピ-ヒョロロロという電話回線の音が懐かしい。
インターネットと発展と、自分の過去と今をつなぎ合わせてみると、本当に社会を一変させてしまったと思う。
そして、その牽引役だったのが、yahooであり、創業社長がこの本で書かれている井上雅博である。
一般的な家庭に生まれ、ちょっとした出会いが人生を変え、雇われ社長でありながらも時代の中で新しいものを生み出したことで、莫大な資産を築き上げた。そして、yahooを引退してからは、その資産を使い、趣味に没頭。趣味のクラッシクッカー事故で60にしてこの世を去る。
物語のような本当の話である。

こういうことがちょっとしたボタンの掛け違いで起こるのかと。これから先の世の中でも、ありうることなのだろうか…。今はないサービスを作り出す創造することが、どれほど大きな価値を生み出すか。
なんだか夢物語を読んでいるが、こういう人は他にもたくさんいるのであろう。
時代や社会の変化に合わせて、変わっていくことで今なお親しまれるyahooが、この先もあるとは限らない。では、次は何が??そのアンテナを持っている人が次の井上になるのだろう。

この本を読みながらしばらく夢を見ることができた。
しかし、私の現実は遠く離れた末端で、日々の暮らしが精いっぱいである。





ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男

ならずもの 井上雅博伝 ――ヤフーを作った男

  • 作者: 森功
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/05/28
  • メディア: Kindle版



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未来の学校のつくりかた [読書]

著者はバングラディッシュで教育活動をしてきた若者。
彼自身のきっかけはともかく取り組みもとても興味があるが、バングラディッシュの教育を考える中で日本はどうなっているのか?を考えた時がスタートライン。
日本の教育分野の公教育、私学教育、教育支援団体、などいろいろな分野の教育で新しい取り組みを始めた人たちをインタビューしてできた本だ。
どの人にも思うことには「志」があるということ。そして、それに向かって前向きに進んでいるということだ。震災後であっても、何年も困難を抱えてきていたとしても、そして、自分以外には何もない状態であっても、前向きさと志してそれぞれの教育を体系化してきている。
そのためにはやはり仲間づくりが大切だ。志を共有する仲間が居てこそ、志が形になっていく。人たらしなのかもしれない。
こういう教育がどこでも当たり前になってほしいと思う。
学力というものを5教科という小さな物差しに変えて、それが人生を決めるなんて世の中はうその塊だと思う。それぞれが、その場所で何が必要がを考えて、行動していくそういう子どもたちを育てていかなければならない。小さな物差しで測っては、目の前にいる子ども、未来の大人たちに失礼なのだ。
ところが実際にはまだその価値観が続いているところが多い。
誰が望むのだろう…どうして皆が同じ物差しで測れると思うのだろう…。

ここにある取り組みが本にされることもないくらいに当たり前なことになっていけばいいと思う。





未来の学校のつくりかた: 5つの教育現場を訪ねて、僕が考えたこと

未来の学校のつくりかた: 5つの教育現場を訪ねて、僕が考えたこと

  • 作者: 税所篤快
  • 出版社/メーカー: 教育開発研究所
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 単行本



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破局 [読書]

芥川賞作品である。
どうしてこうやって性的なことを物語に混ぜるのだろうか…そう思いながらも一気に読み進めてしまった。
そういう気持ちがどこかにあることはよくわかる(と言うと語弊があるだろうか)。ただ、大学生が破局と言うよりも、冷静さを欠いて破滅していくストーリーである。
ラグビー部だった大学生が、一人の女性に偶然出会い、そして、元カノと別れて幸せな生活を送ることになるのだが・・・・。
なんだか、そうなるのか。という感想が何度も出てくる物語だった。
若い作家の書いた物語なんだろうなぁと思いながら読み進めた。





破局

破局

  • 作者: 遠野遥
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/07/04
  • メディア: Kindle版



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夜と霧(新版) [読書]

太平洋戦争からどれだけの時が流れただろう。
日本にも悲惨な状況はかなり語り継がれている。シベリアへ抑留された人たちもいる。
ナチスにより一つの人種を絶滅させようという大虐殺が行われた。
事実として文字で書いても、現実に起こったことだとは想像しがたい。
アウシュビッツにおいて、いつガス室に送られるのか、いつ餓死するのか…そういう恐怖の中で、それでも生きるということについて見方を変え、考え方を変えながら生き抜いた人達がいる。日々続く強制労働の中に、それでも希望を持つこと…希望を持ったとしても叶うことを夢見ることすら困難な状況で、悪夢を見ながらもだえ苦しむ人を起こして現実に引き戻すことの方が悲劇だと思わせる状況。
実際にその体験をしたユダヤ人精神家医師の自己と集団分析である。感情をできるだけ切り離し冷静に分析しようとする中に、その心の強さと感情を織り交ぜたときに分析などできようもないことを知る。
幸せな家庭は突然に理由なく(あるとすれば自分がユダヤ人、家族がユダヤ人であったということ)、強制収容所に送られ、それでも家族との再会を夢見て耐え忍んだ結果は自分だけが生き残る…しかし、彼は後世に世界に自らの体験を感情的な物語ではなく、精神科医として残したことは大きな功績だと言える。
この世には二つの人間の種族がいる、いや、二つの種族しかいない、まともな人間とまともではない人間と…。どんな集団の中にも、悪の集団であれ善の集団であれ、この二つの人間がいて、時に希望を与え、時に悲劇をつくる…。今もなお、いろいろな場所で同様に発見されるのはこの二つの人間である。
感情的に描かれていたらもっと読みやすくもっと心を揺さぶられ、ある意味読み進めるのが難しい内容だったと思う。分析的に描かれた内容は無着色の描写であり、場面の描写であり、言葉の言い回しなので、平坦な場所に二次元的な描写をされ、淡々と読み進めることができた。そして、最後まで読んで、振り返って全体を考えたときに多くのことを感じることができるように思う。
当然、繰り返されてはいけない。しかし、どんな世界であれ、希望を作り出し生き延びる力を人間は持つ。






夜と霧 新版

夜と霧 新版

  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: Kindle版



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学ぶ意欲の心理学 [読書]

一言でいえばモチベーションをどう高めどう維持するのかについての本ではあるが、その方法が基礎研究の説明と、話題の研究者との対談を中心とした本であった。
一つの事柄を研究によって証明することができるが、果たしてそれが本当にその要因によっておこるのか…。これは特に心理学という世界ではかなり怪しいことがわかる。いや、心理学はまだ学問として研究されるが、教育の領域である教育心理学となると、そもそも良いこと、目指されることというものがあって、それに向かって研究がなされる。その目指されるものがなぜ良いのかということや、一つや二つの要因によって効果があったのかということは計り知れない。それでも基礎心理学としては学校教育に大きく貢献しているのが教育心理学なのだという。
一つのものを多方面から見る人がいて、学術的に論ずるというよりも、実践として家庭や学校に受け入れられやすいように論じられることで一般化されるが、実際にはその効果は未知なのである。
学校での教師-生徒間の関係、クラス(仲間)-生徒の関係、そういった測りやすいミクロの部分での研究は行えるが、その背景にある社会情勢や家庭環境までひっくるめたときに、個々の生徒の学ぶ意欲への要因は限定できないのが問題だ。貧困を理由にして学ばない子もいる、貧困を乗り越えようと学ぶ子もいる・・その根底にはどんな違いがあるのか、教育はどう貢献できるのか・・・・。
そういうところは永遠の謎のままなのかもしれない。
読んでいて、うんうんと納得しながら読み進めてきたが、2001年発刊の本であった。社会が変わり状況が変わり…今でも「うんうん」と読めるということは、結局は基礎心理学なのかなぁと思った次第だ。






学ぶ意欲の心理学 (PHP新書)

学ぶ意欲の心理学 (PHP新書)

  • 作者: 市川 伸一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/09/14
  • メディア: 新書



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失敗の科学 [読書]

多くの専門家は、その専門的な知識を用いて私たちを有益な方法へ導く。そう思っていたが…。権威や地位にこだわる人は自分の地位を守るために、失敗をむしろ隠ぺいする方向への力が働く。
何か事故が起これば誰か一人の責任者を見つけてきて、その人の責任を問うことですべてが解決してしまう。
私の周りでも実際に起こっていることばかりである。
ミスを許さない環境では、ミスは隠される。
ミスを学びの機会と考える環境であれば、多くのミスが小さなうちに解決されていく。

私たちはすべてを自身の失敗から学ぶには人生が短すぎる。だから、多くの人の失敗を学習の機会として学ばせていただく。特に学校というところはそういう場所なんだと思う。ところが多くの学校では、失敗を笑い厳しく指導し、脅す。その環境で育てば、将来も社会はそういう場所だと考える。

開かれた社会、失敗に寛容な社会をつくることで、多くのことが学びに変わっていく。そして、いま正しいと思って行われていることを、逆の状況を作り出し対比によって検証しなければならない。これまでの歴史で正しくないことを正しいとして行われてきたことを上げれば枚挙にいとまわない。その失敗を検証しなければ学べない。
失敗だったとして蓋をすればそれで終わりだが、失敗だったならみんなで検証してみようと思えば学びに変わる。
読んでいて「そうだよな」「そうか業界によって対応が違うのか」「そんなところでも同じことが形を変えて起こっているのか」「その責任をその人に押し付けていいのか」などなど、多くのことを考えながら読み進めることができた。





失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

  • 作者: マシュー・サイド
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: Kindle版



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