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小説8050 [小説]

新聞の紙面広告で見て、図書館の方に話をしたところ、気にして頂いていて、蔵書に加えられたときに声をかけていただいた。
さて、8050問題。今回の小説では中が高時代にいじめられて引きこもっている20歳の少年とその家族に関する物語である。近所の人が80歳の親が亡くなり50歳で仕事もしない子どもがその家から連れ出されるところから、明日の我が家と重ねて、7年前のいじめについて裁判を起こすという物語であった。それにしても父親の歯科医は本当に自分勝手で後先を考えずに激高する嫌なオヤジである。そんな親父だから裁判に持っていくことができたのかもしれないが…なんでそこでそうなるかなぁと読んでいて何度も舌打ちをした。でも、他人の物語を読んでいるのと、自分の家族で起こることはやはり違うのだろうとも思う。自分だっていざ子どものこととなると、どこか冷静さを失うことがある。
小説としては、後半の流れは一気に加速するという感じがした。あと、これだけのページで物語がちゃんと結末を迎えるのかと思いながら、読んでいったが、なんとか歪さはあるが丸く収まったという感じだった。いじめという題材と8050という問題を絡めながら、進められていく話は読んでいて不快な部分やスッキリしないことが多かった。
 それにしても80歳の親と50歳の子どもは、どんな関係が正解なのだろうと考えてしまう。今回の主人公である青年は最後に50ではまだ30年あるから大丈夫だと言った。ふと考えてみれば、私もあと十年で8050を迎える。今は自分も親となり親に怒られることもありながらもなんとか生活をしているが、10年後にどうなっているかはわからない。そして、私が80になったときに、またどうなるのか…。
 未来のことを考えると不安も多いが、やっぱり今日一日一日を前向きに生きていくしかないなぁと思うのだった。ん?小説を読んだ感想が自分に重ねすぎる今日この頃。








小説8050

小説8050

  • 作者: 林真理子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/04/28
  • メディア: Kindle版



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カエルの小指 [小説]

道尾秀介のカラスの親指を読んだのはいつだったかなぁ。紹介してくれた人のあらすじが、本編とは全く違って読んだあとに文句を言ったらそういう本だったでしょ…と言われたのはよく覚えているが、その物語の内容はほとんど覚えてない。
そして、今回はその続編。何回かカラスの親指の回想が出てくるけれど、やっぱり思い出せないまま読んでみて思ったのは、ウソばかりの物語だなぁということ。読んでいて何回も騙された。詐欺師とはこうも上手く人を騙すのかなぁ…すると道尾秀介も詐欺師の一人なんだろうか。小説家と言うのは案外そうなのかもしれないと妙に納得してる自分がいる。
詐欺師から足を洗った男の元にかつて助けた女性のこともが現れる。そして母を自殺に追い込んだ詐欺師を探すために協力してほしいと言うところから物語は始まる。あとは何がホントで何が嘘かは最後まで読まなきゃわからない。
寝られなくなる物語であることは間違いない。そして、答え合わせをしながらも、大事なところはご想像にお任せしますというような感じである。
そうか、それでカエルの小指かと言うものだ。
なかなか面白い物語で、カラスの親指を読んだ頃を思い出しながら、やっぱり最初に書いたエピソードしか思い出せなかった(笑)





カエルの小指

カエルの小指

  • 出版社/メーカー: Audible Studios
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: Audible版



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11文字の殺人 [小説]

東野圭吾の作品です。
割と新しい小説だと思って、手を取りました。
なんとなく、記憶のどこかで引っかかる作品でした。
こういう小説はどこかでドラマに使われていたりするのかなぁと思いながら、それでも最後まですらすらと読めてしまいます。
そして、読み終わって1990年に発行された小説の新装版だと知りました。
きっと、遠い昔に読んだことがあるのでしょう。
まぁ、まったくストーリーを覚えていなかったので、初めて読むのと同じ感覚でした。
ストーリーとしては、よく出来すぎている作品で…そうはならんでしょうと思うところもありましたが、それでも結末に少し驚きのような物足らなさのようなものを感じながら夏のひと時を過ごすことができた。時間のトリックは読んでいる中でなんとなく感じる書き方がされていたので…ただ答え合わせをしてみる時に、出てくる情報があるので、結局は読み手にはわからないようで違和感だけを残していたのだと思います。
とっても読みやすいミステリー。





11文字の殺人 新装版 (光文社文庫)

11文字の殺人 新装版 (光文社文庫)

  • 作者: 圭吾, 東野
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/07/08
  • メディア: ハードカバー



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絶叫 [小説]

友人に勧められて読んだ本。
とーっても重いミステリー。
600ページを超える長編小説でしたが、苦にならず読み進めることができたのは、物語のテンポがとても良い。数人の視点から一つのことを振り返っていくストーリーはなんとなく湊かなえの作品を思い出すし、事件を追う刑事の人間模様や加害者である女性の重なり合うような人生観がとても面白い。内容はすごくグロテスクで悲惨で、かわいそうな部分もたくさんあるが、どこかで割り切れない納得できない思いを抱えながらもそういう人生を選んでいくのもわかるような気がする。
結末まで読んで、少し安堵している自分がいる。過去を過去として、新しい未来の中に違う人生を歩むことができるのだろうか、不謹慎にもそんなことを考えてしまう。
人生をやり直すということが、今回の小説のようなギリギリの深い部分ではなく、もっと浅い部分で過去を背負ないながらもできるくらいのところであがいていたいなぁと思うのでした。





絶叫 (光文社文庫)

絶叫 (光文社文庫)

  • 作者: 葉真中 顕
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/04/28
  • メディア: Kindle版



読み終わったので、紹介してくれた人に報告がてら感想を言うと、自分では気づかなかったもう秘湯tのトリックをおしえてくれた。それを聞いて、小説の最後の方にあったいくつかの言葉がよみがえる。
そして、すっかり騙されている自分に気づく。
何人かの視点から事件が語られるというのはこういうことなのかと…。
それにしても一人では気づかないことを、誰からと一緒に読んだからもう一回楽しめる。こういう読書もいいものだなぁ。

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旅屋おかえり [小説]

原田マハの小説。原田マハといえばアートを題材にした物語が多いが、そればかりではないことを感じられるとても面白い内容だった。
売れない元アイドルが、旅する中で出会い、状況を変えていく。そういう姿を見て楽しい気持ちになる。物語の最後に向かって何気ない一つ一つのエピソードが絡み合っていく。よくできた物語だと言わざるを得ない。しんみりとしながら、明るい人柄を感じながら、ああこんな旅ができたら楽しいだろうなとおもう。
芸能人が旅する番組を見るのは楽しい。そして、そんな芸能人にぜひここに行ってほしいという思いもよくわかる。
そして、私も旅が好きだ。下調べしているときから旅は始まる。いろんなことをいっぱい詰め込んで忙しいくらいの旅が好きだ。なんとなく、芸能人の旅番組のようにスケジュールをたくさん詰め込んだたびにいつもなってしまう。
旅をするということだけで、多くのものを吸収できるし、そこでこんな出会いがあったならさぞかし楽しいだろう。そして、そういう出会いをちゃんとこうやって文字に残せたなら・・・・。
自分の旅と重ねながら、ああこんなとこも行ってみないなぁと思いつつ読み進めた。
そして、自分が旅しながら、出てくるミッションを一緒にクリアしているような感覚になる物語だった。
やっぱり原田マハの物語はおもしろい。






旅屋おかえり (集英社文庫)

旅屋おかえり (集英社文庫)

  • 作者: 原田マハ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: Kindle版



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向日葵の咲かない夏 [小説]

ぞくぞくするような小説だと言われて紹介された。
その通りにゾクゾクしながら読み進めたミステリー。
ありがたいことは、死んだ人が小動物に宿ってしゃべりだすという現実では起こらないことをあっさりと何の疑いもなく書いてくれたことだ。おかげでリアルな恐怖を感じずに物語の中でドキドキすることができた。
主人公は小学生…でも、本当にそうなのだろうか…。読み終わってもスッキリしない。
この読書後の残る重い空気は何だろうか…。しっかりと後味まで悪くしてくれた。
親戚の家に引き取られるということは、死んでしまったのだろうか。そして、それでも会話しているということは、小動物に宿ったのだろうか。

気持ち悪いなぁと思いながら、ページをめくるのがやめられなくなる。
この気持ちは、クモの居る瓶に、女郎蜘蛛を入れた気持ちと同じなんだろうか。
人の持つ、とても醜いものがたくさん詰まった小説だった。





向日葵の咲かない夏(新潮文庫)

向日葵の咲かない夏(新潮文庫)

  • 作者: 道尾秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/01
  • メディア: Kindle版



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本と鍵の季節 [小説]

新聞の広告をみて、図書館で探した。
読んでみると、どこかで聞いたのかな?見たのかな?読んだのかな?
なんとなく既読感のある内容であったが最後まで読み切った。
内容は高校生を主人公としたミステリー。書き方はすごくあっさりとして、細かいことに深く立ち入らないような文章でありながら、おおそんなことが身近で起きるのかぁという内容であった。
そして、最後は中途半端な形で終わっていく。ミステリーの一番いいところはご自由に想像してくださいという内容であった。
高校の図書委員が主人公であるからか、図書館の知識が謎の解決に利用されたり、図書館豆知識がたびたび登場する。図書館に興味のある人にも興味を持たれる小説であろう。





本と鍵の季節 (集英社文庫)

本と鍵の季節 (集英社文庫)

  • 作者: 米澤穂信
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/07/01
  • メディア: Kindle版



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未来 [小説]

湊かなえの小説を図書館で借りてきた。小説は買うのは文庫だと決めているが、借りるならハードカバーでも構わない。持ち歩けばトレーニングにもなる?(笑)

湊かなえらしい小説だった。いくつかのエピソードが一つになる。それぞれの視点があり、行ったり来たりする。途中、やるせない気持ちになるし、こんな強く生きれたらいいのになぁと思ったりもする。今回は未来からの手紙が届いたことから始まる。自分にとっては遠い世界の話だと思う虐待やいじめ…でも実際には思った以上に起こっているんだろうなぁ…ああこんな悲惨なことが実際にあるのかと、目を背けたくなるような内容で、でも怖いもの見たさで読み進める。
人間らしいところの描写に頷いたりしながら、ページをめくるたびに沼に深く足を取られるような気持ちにもなる。
一つ言わせてもらえば最後の終わり方が気に入らない…そんな中途半端に終わってしまうのか…この後はどうなるのか…。
そんなことをたくさん考えてしまう。それぞれの続きがあるじゃ納得できない、不幸の沼に沈み込む内容の物語だった。
あぁ、こんなことが現実には起こりませぬように…





未来 (双葉文庫)

未来 (双葉文庫)

  • 作者: 湊かなえ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2021/08/05
  • メディア: 文庫



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ドキュメント [小説]

湊かなえの小説、そう少し前に読んだブロードキャストに続く物語。放送部が全国大会を目指して、行くわけだが、そのために選んだ題材は駅伝。陸上部を目指して入学した少年はケガで放送部を選んだのだが、その駅伝をテーマにドキュメントを作ろうとしたところから、話は違う展開に。ドローンを手に入れるためにではないが、ここでもマラソンが関係してきて話題盛りだくさんの物語だ。そして、そんなドローンが、捉えた映像が問題となり、陸上部も一悶着。さて、全国大会は?と、期待させておいて…そういう展開になるのねと、二転三転の青春ドラマだった。
先輩が抜けてこの三人はこのあとどうなっていくのかなぁ?
そんなことが、気になるところでクライマックス。こりゃ、このシリーズは続くのか?と期待しながら本を閉じた。









ドキュメント

ドキュメント

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/03/25
  • メディア: 単行本



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ブロードキャスト [小説]

久しぶりに自分で購入した小説。最近は図書館で借りることの方が多い。
湊かなえの小説を読むときは、今回はどんな展開でハラハラさせられるのだろうかと思いながらページをめくるのが楽しみである。
で、「放送部」の話(笑)。なんともモヤモヤする青春ドラマだ。
陸上をやるために有名校に進学したが合格発表の帰りに事故にあい、陸上を断念した少年が、放送部と出会うが、まさに「放送部か」というスタートからである。
陸上の駅伝と、放送部と、その活動に共通するものはある。怪我が治った時に、どんな選択をするのかを考えながら、読み進めることができた。
湊かなえらしさは、物語の構成にある。最後にそのシーンが来るのねという、そんな展開にドラマが一つにまとまる。
(ブックカバーを外して、気づく。最後に書かれていた「ラジオドラマ」は短編だそうだ。でも、文庫本としてとってもよくまとまっている。短編が集まって湊かなえの長編になるというのはやっぱり湊かなえらしいのだ。)
こういう青春も悪くはないのだろうと、運動ばかりしてきた自分の価値観に一石を投じる。
解説を読むと、「うんうん」と思う。そして続編の存在を知って、また楽しみが増えるのだった。





ブロードキャスト【電子特典付き】 (角川文庫)

ブロードキャスト【電子特典付き】 (角川文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/01/22
  • メディア: Kindle版



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