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木曜日の子ども [読書]

はぁぁぁ、ため息がでる。重松らしい小説。そういわれればそう。
話し言葉よりも、頭の中での回想が心に染みる。物事への見方が似ているからなのか、それとも、逆に思いもよらない見方をするからなのか。こういう言葉でも説明でもない、想いがつづられる重松小説は好きだ。しかし、今回は少し苦しかった。
木曜日の子ども、ある中学生が起こした教室の給食へ入れた毒物による無差別殺人が始まりである。そして、いじめられ傷つく少年の心にその事件が深くかかわってくる。「たまたま」の偶然が、その閑居を作り、ありえない展開から事件は起こされていく。そして、家庭の持つ意味と外から見た家族と、内から見た家族のギャップ、社会的な課題をいくつもだしながら、中学生の真っ直ぐな部分と、子どもの持つ不安定さが、入り乱れ、それを理解できない大人たちが翻弄されていく。
中学生や二十歳ぐらいの子ども?がどんなに大人として冷淡な仮面をかぶっていたとしても、その中身は、やはり子どもであり未熟である。その先の本来の姿を見せれる相手がいるかどうか、そういう人であろうとするかどうかが問われているようにも思う。
小説を読んでいく中で、だれの声とも読み取れない、心のざわめきのような状況説明が、布に染み込むようにじわじわと情景を映し出していく。絵で見せられるよりもずっとリアルに頭に情景が想像される。これが重松小説だと思いながら、今回のテーマで味わうのはひどく恐ろしい。
読み終えて、ああぁ物語かぁと思えてホッとする。次は明るい話題の本が読みたくなるのだ。





木曜日の子ども

木曜日の子ども

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/31
  • メディア: 単行本



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