SSブログ

ロマンシェ [読書]

また、小説の新しい扉を開けたのかもしれない...。読み始めたときのなんとも言えない気持ち悪さと言うか、僕が読んでいいのだろうかと考えてしまうキャピキャピ感がいっぱいだった。
女性らしさを持つ主人公が、同級生への恋心を抱きながらパリでハチャメチャな出来事に遭遇していく...。いつの間にか、はまっている自分がいるではないか。芸術家である主人公と、物語に登場する小説家の関係が深まっていくことで話の面白味も深まる。小説家とは、自分で自分好みの物語がつくれることに、嫉妬してしまう。僕も自分の物語を書いてみたいし、物語を書くように現実の自分も生きたいと、物語と現実を行き来しながら読み進めていく。
そして、解説まで含めた全部を読み終えたとき、物語がいつの間にか現実とリンクしていた理由がわかった。とんでもなくファンタジーな部分と、現実の世界を繋げてしまうのは、小説家の領域を越えている。
読み終えるのを、もったいないと最後の20ページくらいを後回しにした僕の選択は正しかったのかもしれない。物語をしっかり味わった上で、リアルとの繋がりを知ったのは二度おいしい。もし、今、美術館での展示まで見れたなら、三度美味しいのだが、そこまでうまくはいかないものだ。

さて、これを読んだあの人はどう感じるのか...そんなことを考えることでちゃんと三度美味しいのだ。





ロマンシエ (小学館文庫)

ロマンシエ (小学館文庫)

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: 文庫



nice!(2)  コメント(0) 

星がひとつほしいとの祈り [読書]

この本を手に取った理由ゆえにかもしれないけど、切なくなる短編集だったなぁ。

いけない恋の終末というか、でも望まぬともそうなることもあるじゃないかと、切なさの中に考える。読み終えて思うことは、原田マハさん、なかなか面白いってことかな。ホームページのプロフィールから、すごい道を直感と度胸(←本人曰く)で歩んできたんだなぁと、感心してしまう。努力家なんだろうなぁ。正直者なんだろうなぁ。
この小説のいずれにも嘘はないように思う。そう感じてしまったんだから仕方ない。だから、切なくなる。答えの出しにくい問題提起で、その先にある答えはご自分でどうぞって感じがする。どれが一番...そう言えないのが短編集。どれもそれぞれに違う景色を見せてくれる。そう、まさに実際の街がちゃんと物語に溶け込んでいる。方言がそう、情景がそう、川や駅の名前がそう、僕もそこに行ってみたいと思わせる。実際に、その場所には訪れた人たちのいろんな物語があって、これはその1つが書かれているんだと思う。そうやってちょっとしたきっかけが、止めどなく大きな世界を見せてくれるし、自分の思いを膨らませてくれる。

さてさて、この本にしようと言ったあの子は読んで何を感じるんだろう...それもこの物語のように、ご自分でどうぞ...私は問題提起まで、なのかしら?





星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)

星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/10/04
  • メディア: 文庫



nice!(0)  コメント(0) 

父からの手紙 [読書]

本屋にふらりと入って、小説を探した。特にどれと決めいたわけではない。なんの用事で本屋に行ったのかも定かではない。

ただ、父と娘の感動ミステリーという帯にひかれて手に取った。

ミステリーだから、事件が起こる。読み始めてみると、父と娘の無上の愛が見当たらない。9年前に起きた事件と、娘の婚約者が殺された事件が平行して走り出す。しばらくはまさに平行で交わりあわない。
二つの事件と、それぞれの当事者。関係者の関係者の過去のいきさつ。読んでいて疲れてしまうくらい話の道筋が見えてこない。さすが長編小説とあるだけのことはある。

ようやく二つの事件が重なり合うようになってからの展開は早い。婚約者の殺人事件は、あれだけ引っ張ってきたのに...こんなあっさりと??と思うくらいだ。

そして、無上の愛の証である手紙は...。現実離れしたもののように感じた。

読むペースも上がらなかったところに、次の読みたい小説を見つけたのが原動力となり、最後まで一気に読み終えることができた。

帯に期待しすぎてはいけない...。





父からの手紙 (光文社文庫)

父からの手紙 (光文社文庫)

  • 作者: 小杉 健治
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/03/14
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。